冒頭陳述は真実とは限らない

2016-09-27

 刑事裁判は,証拠によって事実があったのかなかったのかを判断することになります。
その証拠調べのはじめに検察官が冒頭陳述を行います(裁判員裁判等では弁護人も行います)。
 この冒頭陳述とは,検察官が証拠によって証明しようと考えている事実関係について簡潔にまとめたものであることが通常です。
 つまり,検察官の単なる主張にすぎません。
 例えば,傷害事件で検察官は,被害者の「被告人に右手で殴られた」との供述を信用し,この供述に基づき「被告人は被害者の顔面を2回殴打した」などと冒頭陳述で述べるでしょう。
 ところが,実際に被害者を証人尋問してみた結果,この被害者の証言が必ずしも信用できない,ということはあり得ることです。
 このように冒頭陳述とは,その時点における検察官の見立てにすぎないのです。
 なぜ実際の証拠調べと異なる事態が生じるのかというと,様々要因はありますが,検察官の冒頭陳述の時点の見立ては,すなわち捜査段階の見立てとほぼ重なるからなのです。 捜査段階は,警察や検察が行いますが,そこに弁護人の視点は入りません。反対当事者からの吟味やチェックを経ていない情報を元に冒頭陳述が組み立てられるため,実際の法廷での証拠調べと齟齬が生じることが珍しくないのです。

 検察官の冒頭陳述を聞くと,そのようなことがあったのかと錯覚してしまいがちですが,それは誤判を生む原因となります。検察官はそのように事件を見ているんだな,と思って下さい。

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