冒頭陳述を行う弁護側の意義

2017-03-27

冒頭陳述とは,刑事裁判において,証拠を調べる前に証拠により証明する事実や事実上,法律上の主張を明らかにする手続です。

検察官は,通常の刑事裁判では,冒頭陳述を必ず行います。
裁判を受けることになった被告人の経歴,身上関係などの他,事件に至った経緯,動機や犯行内容,被害結果などを述べるのが通常です。
また,犯罪の成否が争いになっている事件では,検察官が有罪を基礎づける事実や証拠について述べるのが通常です。

これに対して,弁護側は裁判員裁判など以外では冒頭陳述を行うことは求められません。
弁護側が冒頭陳述を行う意義は何でしょうか。

物事は多面的で,見る者の視点が変われば別の姿が見えてくるものだと思います。
犯罪が成立するか事実が争いになっている場合はもちろんですが,事実の争いがない場合でも,同じ事実,同じ証拠でも視点が変われば別の姿が見えてくるものだと思います。

例えば,窃盗の前科があって同じような窃盗を繰り返してしまった事件があったとします。
このように前科があって犯罪を繰り返しているということからは,反省していない,次もまた犯罪を犯す危険があると,刑を重くする事情といえます。
しかし,ご本人は,高齢となって衰え自分で金銭管理などして生活することができなくなっていたとしたらどうでしょう。
前科があって犯罪を繰り返しているということは,単に反省していないというのではなく,他の助けを必要としているという事情が見えてくると思います。

弁護側が行う冒頭陳述は,このように検察官とは違った視点で事実や証拠を見てもらうようにする重要な意義があるといえます。

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