取調べで作られた供述調書の証拠能力

2018-05-28

罪を犯したと疑われ被疑者として取調べを受ける場合,取調べを行った警察,検察は,供述調書を作成します。
供述調書の内容は,被疑者本人が自分で事件の内容などを説明する文章表現になっています。しかし,供述調書の文章を作成するのは被疑者自身ではなく,取調べを行った警察,検察です。
供述調書の文章の最後に,被疑者が署名押印をして,被疑者自身が供述調書の内容に間違いはないことを確認したとされるものです。

こうして作られた供述調書は検察側の証拠となるものです。
被疑者は起訴されて裁判を受けることになった場合は,被告人という立場になります。
被告人の供述調書は,被告人に不利益な事実を承認する内容であり,被告人の署名,または押印があれば,原則として証拠として証拠能力が認められることになります(刑事訴訟法322条1項本文)。
不利益な事実の承認が任意にされたものでない疑いが認められるときは証拠とすることはできないとされています(同項但書)。しかし,実際にこうした疑いが認められるとして証拠能力が否定されることは,極めて例外的です。

このため,実際の裁判では,被告人の供述調書を検察官が証拠として請求する,その供述調書の内容は被告人自身の記憶や認識と異なる内容であるにもかかわらず,その記載内容自体の証拠能力は争えないということが多くあります。
そして,一度,署名押印して作成した供述調書は,こうした供述調書の存在自体をなかったものにすることはできません。
取調べを受けるにあたって供述調書にどのような内容が記載されているか,これに対して署名押印をしていいかは,取調べ時に自分1人の考えや判断で行うことは取り返しがつかない危険があります。
弁護人から適切なアドバイスを受けてこれに従うことが重要です。

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