富田尚弥選手の記者会見と自白

2014-11-14

水泳の富田尚弥選手が、アジア大会で韓国記者のカメラを盗んだ疑いをかけられ、話題になっていますね。これは、立派な刑事事件です。実際、韓国ではすでに捜査を受けており、富田選手は事実関係を認めたと報道されていました。 

先日、富田選手は、弁護士とともに日本で記者会見を開きました。
富田選手は、自分は無実であると告白しました。
ご覧になったでしょうか?どのような感想を持たれたでしょうか?
記者たちが、次々に質問を浴びせかけていました。
「信じていないぞ」といわんばかりの質問もたくさんありました。
富田選手の話は「不自然だ」「怪しい」と感じられた方も、もしかしたら多かったのではないでしょうか。「実は富田選手がやったのではないか」と感じた方も、いらっしゃったかもしれません。 

なぜ、そう思えるのでしょうか。

もちろん、富田選手の話の内容が信じられるかという問題もあります。
しかし、それ以上に、一度富田選手が事実を認めていたということが大きいのではないでしょうか。やってもいないことを認めるはずがないと思われる方も、多いのではないでしょうか。 

しかし、無実の人がやってもいない罪を認めてしまう、ということは、刑事事件において珍しくありません。
逮捕された人が無実を訴えても、捜査機関はこう言ってきます。
 「認めれば早く終わる」
 「否認しているとずっと帰れないぞ」
富田選手も、韓国の警察から、認めればほかの選手と一緒に日本に帰れる、というようなことを言われたと話しています。
逮捕されて動揺した容疑者が、警察からこのような発言をされ、これを信じるあまり、やってもいない罪を認めてしまうことは、よくあることです。 

そして、今回の記者会見でそうなったように、この一度した自供(「自白」といいます)が、後々本人にとって極めて不利益に作用することも、刑事事件において珍しくないのです。
一度した自白は、刑事裁判で不利な証拠として採用されます。裁判官に、うその自白を強要されたと主張しても、認められないことのほうが多いくらいです。日本における、典型的な冤罪の原因になっています。

もちろん我々には、富田選手が本当に窃盗をしたのかどうかはわかりません。
しかし、仮に富田選手が無実であるとすれば、一度うその自白をしてしまったということは、きわめて不利益に作用してしまうのです。

警察の取調べの圧力により、やってもいないことを認めてしまう場合はあり、それはその後きわめて不利益に作用してしまいます。
このような事態を回避するためには、逮捕された後できるだけ早く弁護人を選任し、冷静な視点での助言を受けることが不可欠です。

 

 

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