悪性格立証

2018-09-14

 刑事裁判において悪性格立証という言葉が使用されることがあります。 
 悪性格立証とは,被告人の性格が悪い奴だということを検察官が立証しようとすることを意味します。
 例えば,無罪を主張している被告人がいたときに,検察官は有罪を立証しなければなりませんが,被告人の悪性格を立証することで,普段から悪い奴だから今回の犯行も被告人がやったんだということを明らかにしようとします。
 しかし,裁判という限られた証拠と審理時間の中で,人の性格を的確に判断することは難しい上に,性格が悪いからといって犯罪を起こすとは限りませんので,一般的に悪性格であることは犯罪の証明をする力(証明力といいます)が弱いと考えられています。
 さらに,人が有罪か無罪かを判断するときに,被告人の性格によって偏見を持ったり誤ったイメージを持ってしまうかもしれませんので,このような悪性格立証は許されない場合がほとんどです。

 しかし,実際の刑事裁判では,その境界線が微妙なケースもあります。
 例えばDV被害にあったという事件で,傷害事件に問われた被告人の事件で,起訴されているのは,ある日の特定の暴行であるとします。被害者はその日よりも前にも被告人から殴られたという話をしているとき,検察官は被害者の証人によって過去の暴行を立証することが悪性格の立証になるでしょうか。
 検察官としては,過去の暴行も今回の暴行に至る経緯であるとか,今回の暴行の原因の一つであるとして悪性格の趣旨ではないと主張することが多いでしょう。
 他方で,過去にもDVをするような奴だから今回もしたんだという考えをすることになれば,限りなく悪性格立証に近くなってしまいます。

 刑事弁護人としては,個別の事案に応じて,適切に許される立証なのか,悪性格で許されないものなのかを見極め,裁判所に訴えていかなければなりません。

Copyright(c) 2014 東京ディフェンダー法律事務所 All Rights Reserved.