控訴審の事実取調べの実情

2016-09-01

 第一審の判決に不服がある場合、高等裁判所に控訴することができます。
 しかし、それは、高等裁判所においてもう一度裁判のやり直しができるわけではありません。
 控訴の裁判(控訴審)は、第一審判決が正しいかどうかを事後的に判断する裁判だといわれています。ですから、控訴審の裁判にあたり、新しい証拠を提出したり、新しい証人を尋問したり(こういった新しい証拠を取り調べることを、「事実取調べ」といいます。できるのは、第一審の時に証拠を提出できなかったやむをえない事情がなければならないとされています。さらに、やむを得ない事情があったとしても、控訴審の裁判所が必要がないと判断すれば、証拠を取調べる必要性がないという理由で、証拠が却下されてしまう場合もあります。

 実際の控訴審の裁判では、新しい証拠を提出しようとしても、多くの場合、必要性がないとして却下されているのが実情だといってよいと思われます。中には、有罪無罪を真剣に争っている事件で、第一審が有罪を認定した論理を覆す有力な証拠と思われるような証拠であっても、必要性がないとして却下されてしまうケースも珍しくありません。
 依頼人のために最大限の弁護をしようとする我々からすれば、新しい証拠を十分に見てもらったうえで最終的な判断をしてほしいと思うケースはたくさんあり、そのようなケースで事実取調べ請求が却下されてしまうと、忸怩たる思いをします。
 
 ですから、控訴審における証拠の提出は、その証拠を見てもらう必要性がどれだけ高いのかを主張立証するところから、勝負を始めなければならないのです。

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