確定判決と二重の危険,一事不再理効

2018-02-14

 一度刑事裁判を受けたら,同じ事件について二度刑事責任を問われることはないというルールがあります。たとえば,誰かが,Aさんに対する殺人罪の疑いをかけられたが無罪になり,この判決が確定した場合,検察官がもう一度その事件を刑事裁判にかけることは許されません。
 これは,何度も重ねて罪を問われることになってしまえば,被告人という極めて負担のかかる地位に立たされ続けることになってしまいますし,刑罰の危険におびえながら生きていかなければなりません。犯罪者の処罰は社会の要請ですが,これに伴って個人の自由を過度に侵害することのないように,国家が個人を罪に問えるのは1回だけと決めたのです(二重の危険の法理)。
 また,刑事裁判の判決は,裁判所の公的な判断として尊重されなければなりません。何度も裁判を起こすことができるなら,裁判の意味がなくなってしまうともいえます。そこで,裁判所の判決が確定した場合,その効力として,同じ事件についてもう一度審理を求めることはできないと考えられています(一事不再理効)。
 このように,同じ事件については,二度刑事責任を問われることはありません。
 上の例は殺人事件に関する例ですが,たとえば検察官が殺人の立証に失敗した場合に,Aさんに対する傷害致死罪でもう一度裁判にかけることはできるでしょうか。これも,社会的に見れば同じ事件であるので,許されないと考えられるのが通常です。他方で,たとえばAさんに対して殺害以外に詐欺をしたと疑われている場合,や,Aさん以外にもBさんに対する殺人の疑いがかけられている場合,Aさんに対する殺人が無罪でも,これらの罪を起訴することは可能です。これは,社会的に見て別事件だと考えられるからです。
 「同じ事件」であるといえるかが,裁判で争われることもあります。

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