自白の任意性とは

2016-03-01

 裁判では自白の任意性が争われた。このような報道を目にすることがあると思います。
 これはどのようなことかというと,逮捕され取調べを受ける中で,警察官や検察官に対しては犯罪を行ったことを認めた(そのような内容の調書が作成された)ものの,裁判では無罪を主張する,というような場合です。
 
 このとき,検察官は,被告人が犯人であることの証拠の一つとして,被告人の供述調書の取調べを裁判所に求めます。 
 これに対し弁護側は,自白は任意になされたものではない,と主張します。ここで自白が任意になされたものか,任意でないのかが争われることになります。
 
 刑事訴訟法では,犯人の自白調書について「任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない」(刑事訴訟法322条1項)と定めています。
 
 任意じゃなく自白するというのはどういう状態でしょうか。
 それは取調官が,やってないと話す被疑者に対して,「認めないと刑が重くなるぞ」「認めれば保釈で出られたり刑も軽くなるぞ」と脅したりすることがあるのです。取調べは毎日毎日朝から晩まで続きます。やってないと言い続けても信じてくれません。そのような中で,目の前のつらさか逃げるためにやってもいないことを自白してしまうことは,決して珍しいことではありません。過去の著名なえん罪事件では,やってもいないのに死刑になるような罪と認めてしまったということすらあるのです。

 警察官や検察官は目の前の人が犯人だと思い込んでしまうと,厳しい取調べをします。他方でやってない人にとっては過去のある1日の出来事の説明をせよと言われても,きちんと説明できないことがほとんどです。やってないことを証明することはとても難しいのです。
 
 現在裁判員裁判対象事件にのように一部の事件では,取調べの可視化といって取調べを録音録画する試みがスタートしています。この録画録音は不当な取調べをなくす適切な手段になりうるのですが,現在はまだまだ不十分です。なぜなら全ての過程が録画録音されているわけではないからです。
 録画されていないところで,不当な取調べが行わるケースが後を絶ちません。

 もっとも大切なことは,そのような不本意な自白を絶対にしないことです。
 逮捕されてしまったら,できる限り早く弁護士に相談し,取調べ状況についてもきちんと伝えて,どのように対処すべきかのアドバイスを求めましょう。
 
 

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