自白の怖さ

2015-10-27

 先日,東住吉放火殺人事件の再審開始決定が高裁でも維持され,20年ぶりに釈放されました。この事件は内縁関係の夫婦が保険金目的で女児を殺害したと疑われ,無期懲役が確定していた事件です。
 確定前の裁判のときから,放火の態様等客観的な状況につき疑いがあり,えん罪の可能性が指摘されていました。
 再審決定と釈放は喜ばしいことですが,問題はなぜ確定前に有罪とされてしまったのか,再審決定まで20年もかかったのはなぜか,ということを検証する必要があります。

 この事件で確定判決が有罪とした決め手は2人の自白調書でした。2人とも保険金目的で殺意害したという嘘の自白調書を作成されていたのです。
 2人は,この自白調書につき警察から拷問を受けて作られたものだと主張していました。
 今回の再審の中で,裁判所は,自白調書にある自白の態様では実際の放火のようにはならないということを再審決定の根拠の1つとした。つまり,真犯人にしか語れない自白ではなくて,捜査機関の誘導により作らされた虚偽の自白であったことが明らかとなったのです。
  
 みなさんの中には,やってもいないことで嘘の自白をし,その調書に署名してしまうなんてことがあるだろうかと思う方もいるかもしれません。しかし,毎日毎日警察や検察から取調べを受け,ときに脅され、ときに利益誘導を受け,目の前のつらさから逃れたい,裁判で本当のことを言えばわかってくれると考え,嘘の自白をしてしまうケースはあとを立ちません。
 過去には,死刑になるような事件ですら虚偽の自白をさせられてしまった事件もあります。
 そして,悲しいことに裁判所はそうした捕まった人の心理を考えず,自白調書を安易に信用してしまうのです。
 
 突然逮捕されてしまったとき,嘘の自白をしてしまうことは取り返しのつかない事態になります。逮捕された人やご家族は一日でも,一秒でも早く,刑事弁護人を選任し,取調べにどのように対応するかアドバイスを求めることをお勧めします。

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