控訴審における被告人質問

 第1審の判決に不服があって控訴した場合,控訴審でも被告人質問は行われるでしょうか。

一審と控訴審の違い

 一般的に第1審の裁判は第1回公判まで裁判所は起訴状以外には資料がない状態でスタートします。
 捜査機関が持っている証拠も自動的に裁判所が見るわけではありません。第1回公判以降の審理の中で証拠を取調べてはじめて知ることになります。
 これに対し,控訴審は,裁判を一からやり直すというものではなく,第1審で取調べた証拠や証人尋問の結果(尋問調書)などを裁判官が全て検討した上で第1回公判が開かれます。
 弁護人は,第1回公判前に控訴審で取調べて欲しい証拠を「事実取調べ請求」という形で裁判所に予め提出します。
 そして第1回公判が開かれ,そこで採用の有無が伝えられるのが通常です。

控訴審の実情

 控訴審は原則として第1審で取り調べられた証拠で,第1審の判決に不合理な点はないか,という観点から審査されますので,新しく証拠を調べて欲しいと求めても,なかなか採用されないのが現状です。
 それは被告人質問でも同じで,特に否認事件だと控訴審で却下されることの方が多いでしょう。
 量刑事件においても,「原判決後の事情」に限って認めるというような運用が多く見られます。
 原判決後の事情とは,第1審判決後の反省の状況や謝罪示談を改めてしていればその事情などです。

 なので第1回公判はものの5分で終わってしまうことも珍しくなく,控訴審の審理は結審して次回判決というのが一番多い流れでしょう。

 被告人に不利益を課す裁判において当事者の話も聞かないというのは,よい運用ではないと思いますが,現状を紹介させて頂きました。

 いずれにしても控訴審のおいては,控訴趣意書の作成に最大限の力を注がなければなりません。

 第1審の判決に不服の方,控訴審で私選弁護人をお探しの方は,東京ディフェンダー法律事務所までご相談下さい。 

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