累犯として刑が重く科される場合

日本の刑法において,有罪判決を受けた後にさらに犯罪を犯した累犯について,一定の場合に刑を重くするとしています(刑法56条,57条,59条)。
前に懲役刑に処せられてその執行が終わった日,または執行が免除された日から5年以内に,さらに犯罪を犯して懲役刑が言い渡される場合は,累犯として刑が重くされます(刑法56条1項)。

前に懲役刑に処せられた場合であり,禁固刑や罰金刑はこの累犯加重にあたりません。
前の懲役刑に執行猶予が付せられた場合もこの累犯加重にあたりません。(執行猶予中は執行が終わったとは言えず,執行猶予が取り消されることなく期間満了した場合は猶予期間の経過で刑の言い渡しは効力を失うとされていて,前に懲役刑に処せられたとは言えなくなります。)
また,懲役刑の服役途中で仮釈放となって仮釈放中に犯罪を犯した場合も,まだ執行が終わったとは言えず,この累犯加重にあたりません。
5年以内にさらに犯罪を犯した場合であり,その新たな犯罪について判決が5年以内に言い渡される必要はありません。
また,新たな犯罪は前の懲役刑と同種の罪である必要もありません。

新たな犯罪について累犯加重される場合,その法定刑の長期の2倍以下の刑とされます(刑法57条)。
例えば,窃盗罪の法律で定められた刑は,懲役10年以下,または罰金50万円以下です。
懲役刑が言い渡され累犯加重がされる場合は,懲役10年以下の2倍である懲役20年以下の範囲で刑が言い渡されることになります。
もっとも,上限である長期が懲役20年以下の範囲とされるものであり,累犯加重されるからといって,単純に懲役刑の年数が2倍とされるものではありません。
また,日本の刑法の法定刑は広い範囲で定められており,例えば窃盗罪で累犯加重されたとしても元々の上限である懲役10年を越える刑が渡されることは極めて例外的と言えます。
実際に言い渡される刑は,様々な量刑上の事情を考慮して言い渡されるものと言えます。

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