事実の取調べをめぐる攻防

2019-02-22

刑事裁判では証拠が取り調べられます。地方裁判所で行われる第一審とは異なり,控訴審では,原則として,第一審で顕出されていない,新たな証拠に基づく事実が取り調べられることはありません。第一審であらわれた証拠・事実関係のみを前提に,第一審の判決が正しいかが判断される,というのが建前です。検察官や弁護人が,事実調べ請求をして,新たな証拠により証明される事実を取り調べるよう求めることはできますが,その要件は厳格なものです。。

他方,裁判所は,必要と考えれば,職権で新たに事実の取調べができます(刑事訴訟法第393条1項)。必要と考えれば,検察官や弁護人が請求していない証拠に基づく事実であっても取調べることができ,その裁量は非常に広いものと考えられています。

 

弁護人が第一審の判決の破棄を求める場合,裁判所に対して新たな事実を取り調べるよう求め,判断の起訴となる事実関係自体に変化をもたらすことは極めて重要です。諦めることなく証拠を収集すると共に,「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調べを請求することができなかった証拠」であり,「刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことができない」という要件を,説得的に論じる必要があります。

また,逆に,裁判所の職権による事実の取調べが,明らかに必要性がないということもあります。その場合,弁護人は,裁判所に対して異議を申し立てることになります。裁判所が自らの判断を撤回することは考えにくいですが,裁判所の判断の誤りを上告審で適切に指摘するためにも,異議を申し立てることは重要です。

 

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