刑の下限と酌量減刑

2020-10-13

刑事裁判で有罪判決が下される場合,懲役刑が選択されれば,「懲役〇年」という形で刑が科されます。多くの事件では,何年の刑になるかが争われます。

刑法上,法定刑という概念があります。裁判所は、基本的には法定刑の下限(短期といいます)よりも軽い刑を科すことができません。例えば強盗致傷罪については「無期または六年以上の懲役に処」すとされていますから,法定刑の下限は6年です。したがって,原則として6年より軽い刑を言い渡されることはなく,執行猶予はつかないことになります。

 

しかし,実際には強盗致傷罪で有罪判決がくだされても,執行猶予が付くことがあります。このような事案のうち一定数は「酌量減刑」により刑が減軽され(刑法第66条),法定刑の短期の2分の1の年数が,科すことができる懲役刑の下限になります。つまり,懲役3年の刑を言い渡すことができますので,執行猶予付きの判決があり得るのです。

 

酌量減刑は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」にすることができます。示談が成立し,被害者から宥恕(ゆるし)を得られている場合には,酌量減刑がなされることもしばしばありますが,このような示談が出来ているからといって必ず酌量減刑がされるわけでは全くありません。犯罪の態様や被害の大きさ,果たした役割といった犯情が,特に他の事案と比べて軽微であると主張することが重要です。

酌量減刑を獲得するためには,単に示談をすればいいというだけでなく,事案の性質を証拠に基づいて分析し,説得的な弁護方針の下で,一貫性のある尋問や弁論を行わなければなりません。

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