勾留の取消しと準抗告

2018-11-22

勾留がいったん決定されてしまった場合でも,身柄拘束下から脱する手段があります。大きく分けて二つの方法があります。一つは,準抗告(刑事訴訟法第429条1項)により,元の勾留決定を破棄するよう求めるというものです。もう一つは,勾留の取消し(刑事訴訟法第87条1項)を求めるというものです。

 

どちらも,勾留の効力を失わせるという点では共通します。もっとも,勾留の取消しは,勾留決定後に勾留の理由や必要性が事後的になくなった場合を想定したものです。一方で,準抗告は,端的に言えば,元の勾留の判断がおかしかった,という主張をするものです。例えば勾留決定の後になって,示談が成立しただとか,捜査が進捗して罪証隠滅の余地がなくなった,あるいは,身柄を引き受けて監督する親族の協力が得られるようになったというような,新事情が発生したケースでは,準抗告ではなく勾留取消しによるべきだとする考えもあるようです。

 

しかし実務上,準抗告ではなく勾留の取消しによるとデメリットがあります。勾留の取消しをする場合,検察官の意見を聞かなければならないとされています(同法第92条2項)。そして,この検察官の意見が述べられるのには時間を要します。弁護人が取消しを求める書面を提出してから,1日以上たって裁判所に検察官の意見が述べられるということもあります。つまり,被疑者の身柄が解放されるタイミングが,検察官の都合により1日延びてしまいます。一方で準抗告の場合,提出時間にもよりますが,原則として提出したその日に決定が出されるという運用がなされています。

さらに,現在の裁判所の運用では,準抗告を申し立てる場合でも,勾留決定後に発生した新事情を盛り込むことが許容されています。準抗告によるデメリットは,現状では見当たりません。

一刻も早く被疑者を不当な身体拘束から解放するために,適切な手段を選択することが,弁護人には求められています。

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