執行猶予期間中の運転

2019-05-07

刑の執行猶予中に,再び罪を犯して刑罰を受けた場合,執行猶予が取り消されることがあります。

刑法26条1号は,「猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」には,刑の全部の執行猶予の言い渡しを取り消さなければならない,としています。つまり,禁錮以上の刑を言い渡された場合は,必ず執行猶予が取り消されます。また,禁錮に至らない刑罰,例えば罰金刑に処された場合であっても,猶予が取り消されるリスクがないとは限りません。26条の2第1号は,「猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき」にも,裁判所の裁量により,刑の執行猶予を取り消すことができるとしています。また,同条2号は,保護観察付の執行猶予を言い渡されたものが,保護観察における遵守条件を守らず,情状が重い時にも,執行猶予の取り消しを認めています。

このような規定があることから,執行猶予期間中の生活,特に車の運転をすることについて心配される方も少なくありません。交通違反をしたら執行猶予が取り消されるかもしれないから,車の運転を避ける方がよいか,運送会社などに就職するのはやめた方がよいか,という相談は特に多いです。

刑の執行猶予が取り消されるほとんどのケースは,刑罰を受けた場合です。単なる交通違反で切符を切られたり,免許に関する行政処分を受けることから直ちに執行猶予が取り消されるということはありません。また,仮に事故を起こしてしまったとしても,結果が軽微であったり,過失の程度が軽い場合には,罰金刑にとどまり,執行猶予が取り消されないことも十分あり得ます。ですから,安全運転を心がけて普通に生活していれば,執行猶予の取り消しを恐れる必要はない,とお答えすることが多いです。

もっとも,注意しなければならないのは,仮に交通違反や事故を起こした場合の対応です。その場から逃走してしまう救護義務違反(いわゆるひき逃げ,当て逃げ)や,知人に身代わりになってもらう犯人隠避等の罪を犯した場合は,情状は相当悪く,禁錮以上の刑が科される可能性も極めて高くなります。執行猶予中であることが頭をよぎり,パニックになったせいでこのような犯罪に及んでしまうというケースも多く,注意が必要です。

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