対質を活用しよう

2019-06-14

 刑事裁判では証人尋問や被告人質問が行われます。
 争いのある事件であれば,例えば被害者と被告人の供述が対立したり,共犯者間で他入りすることは珍しくありません。

 あるいは,証人同士(例えば検察側と弁護側がそれぞれ専門家証人を請求するなど)でも対立することがあります。

 事実認定者(裁判官,裁判員)は,食い違う双方の話しを聞いて,どちらの供述が信用できるかを判断しなければなりません。

 刑事裁判の尋問は,原則として,個別に1人1人行われます(刑事訴訟規則123条)。
刑事裁判では検察官が立証責任を負っていることから,まず検察官の請求する証人をやり,その後に弁護側証人,被告人質問と続くことが普通です。

 これに対し,対質(刑事訴訟規則124条)とは,A証人とB証人,あるいはC証人と被告人,を同時に尋問する,ということです。
 たとえば, 
検察官 そのとき被告人はどうしましたか
被害者 右手で殴ってきました。
検察官 被告人に聞きます。右手でどうしたんですか。
被告人 殴ってはいません。
というように,同じ場面について,同時に双方に聞くことが可能となります。

 このような対質は,事実が対立しているときなどに,双方の話しを同時に聞けるので,分かりやすい面があります。
 
 他方,被告人の前では話しづらい,とか,直接は対立したくないという証人側の要請であったり,時間の調整や,尋問事項,誰が聞くかの調整といった聞く側の問題があったりして,これまではあまり活用されてきませんでした。

 裁判員裁判がはじまって10年立ちますが,裁判員裁判でも数える程かと思います。

 事案や対立する事実の内容等によっては,もっと活用してもよいと思います。

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