アルコールの発覚免脱罪

 飲酒の上自動車を運転し,事故を起こして人を死傷させた場合,危険運転致死傷罪が成立する場合があります。

発覚免脱罪が成立する場合

 なお,危険運転致死傷罪が成立するためには,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態にあったことが必要です。従って,多少のアルコールを飲み,運転行為には支障がない状態であった場合には,危険運転致死傷ではなく,過失運転致死傷と酒気帯び(もしくは酒酔い)運転として道路交通法違反が成立することになります。
 
 このいずれであっても,アルコールを飲んで運転し、人を死傷させる事故を起こした者が,お酒を飲んだことの発覚を免れるために,水を飲んだり,事故後にお酒を飲んだり,逃走したりする行為は,発覚免脱罪という新たな罪に該当します。

発覚免脱罪の内容 

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第4条 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。

これは,体内にあるアルコール濃度は事故後時間の経過とともに低下していきます。そのため,逃走したあとに出頭すればお酒を飲んでいたことを隠すことができたり,事故後に新たにお酒を飲むなどして,事故後に飲んだだけだという主張をする人がいたことから,新たに制定された犯罪です。

この発覚免脱罪の懲役刑は12年以下ですが,単純な過失運転致死傷が,7年以下の懲役と定められていることと比較しても,大変重い刑罰です。

なお,その場から逃走した場合には,道路交通法の救護義務違反や報告義務違反という別の犯罪も成立します。

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