一罪一逮捕一勾留の原則

一罪一逮捕一勾留の原則とは

 一罪一逮捕一勾留の原則という原則があります。逮捕勾留の一回性の原則とも言います。これは,一つの容疑では,1回しか逮捕勾留できないことを指しています。法律上,逮捕・勾留できる期間は決まっています。逮捕勾留したまま捜査機関が捜査できるのは,その期間だけです。一つの罪で何度も逮捕勾留できることとなってしまえば,こうした法定の期間の定めが無意味になってしまうので,当然と言えば当然の原則ということができます。
 ただ,問題は,どこまでが「一罪」かということです。
 たとえば,ある資材置き場から資材を窃盗したという事件を想定しましょう。一度だけ資材置き場に入って,資材5キロを盗んだ事件であれば当然に窃盗一罪ですが,もし,連続して何度も入り,1キロずつ5回に分けて外に運び出した例であればどうでしょう。窃盗が5罪成立するのか,それとも実質的にさきほどの例と同じなので窃盗一罪とすべきか。難しい問題があるのです。

弁護実践上の問題

 弁護実践上は,再逮捕の場面で問題になりえます。ある罪で逮捕されて勾留された後,また別の罪で逮捕されることを「再逮捕」と呼んでいますが,本当に別の罪なのか,実質的には前に逮捕された罪と同じ一罪ではないのか,検討する必要があります。先ほどの例でいうと,合計5キロの資材を窃盗しただけなのに,1キロの資材の窃盗容疑で逮捕された後,また1キロの資材の窃盗容疑で再逮捕されたような場合です。
 もし再逮捕が実質的に前の件の逮捕の蒸し返しであると考えられる場合,勾留決定をする裁判官に意見を提出する,勾留を準抗告で争う,などの対応をしなければなりません。

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