事例紹介 検察官控訴事件での無罪事例

 先日,当事務所の山本衛弁護士が担当し,第一審で無罪判決を得た事件について検察官が控訴した事案で,高等裁判所において第一審の無罪を維持する判決が言い渡されました。
 事案は,電車内での痴漢冤罪の事件でした。依頼人は,朝満員電車に乗って通勤中,突然,女性から腕を掴まれるなどして逮捕されました。
 第一審では,女性の証人尋問や被告人質問が行われましたが,女性の証言に食い違いがあること,被告人との身長差に鑑みて痴漢が困難であることを中心に立証活動を行い,弁護人の主張が受け入れられて無罪となりました。
 これに対し,検察官が控訴しました。検察官の主張は,第一審の裁判所が行った事実認定が不合理であり,事実を誤認したというものでした。
 検察官は,第一審の裁判所が行った事実認定を詳細に批判しました。しかし,弁護人から見れば,検察官の主張は,どれも第一審判決を正しく理解しないか,前提を誤っている主張ばかりでした。そこで,弁護人は,この検察官の主張に対し詳細な答弁書を作成し,反論しました。
 また,検察官は,追加で証拠の取調べを要求しました。しかし,これも,弁護人から見れば,第一審の審理の蒸し返しであったり,前提を誤ったもので,適切な証拠とはいえませんでした。そこで,これらの証拠を取り調べるべきでないことを詳細に主張し,その主張を裁判所に提出しました。
 高等裁判所は,検察官の請求した追加の証拠調べの請求をすべて却下して結審しました。
 そして先日,高等裁判所は検察官の控訴を棄却し,第一審の無罪判決を維持する判決を宣告しました。高等裁判所も,判決の理由中で,検察官の主張は第一審判決を正しく理解しないか前提を誤ったものであることを認め,弁護人の主張を全面的に受け入れる形での判決を行いました。

 
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