亡くなってるのに殺人未遂での逮捕

 事件の報道などで,被害者が亡くなっているケースであるにも関わらず,殺人既遂ではなく殺人未遂で逮捕した,などということを目にすることがあります。

殺人未遂で起訴される理由

 亡くなっているのに未遂で逮捕ということを不思議に思われる方もいるかもしれません。

 理由はいくつか考えられます。
 まず,逮捕の時点では死亡が確認されず(救急搬送され治療をしていたなど),とりあえず殺人未遂で逮捕するというケースです(逮捕から事件発表までの間に死亡するなどしたため報道時には死亡している)。
 現行犯逮捕や緊急逮捕の場合によくあります。
 送検時や起訴時に殺人に切り替えるケースも珍しくありません。

 あるいは,逮捕時に亡くなっている場合でも,犯人(被疑者)の行為と死亡との因果関係が不明な場合も,殺人未遂で逮捕し,後々法医学者などの意見を聞いて殺人既遂に切り替えるということもあります。
 仮に人を死なせるような行為をしたとしても,そのこととは別の事情で死亡したような場合,因果関係がないとされれば殺人既遂の罪に問うことはできないのです。

 いずれにしても逮捕時の報道は,今だ未確定な状態として見る必要があるのです。

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