勾留理由開示 勾留の理由がどこまで明らかになるか

 勾留理由開示とは,簡単にいうと,勾留されている被疑者が,その勾留の理由を公開の法廷で裁判官に明らかにしてもらうことをいいます。自分がなぜ身体拘束をされているのかを公開の場で知ることが,勾留という不利益を受けている被疑者の重要な権利だと考えられていて,憲法と刑事訴訟法で明記されています。
 

勾留理由開示の役割

 ところが,この勾留理由開示は,憲法や刑事訴訟法が期待した役割を発揮することができていません。勾留の理由とは,犯罪の嫌疑があること,釈放したら証拠を隠滅するであろう相応の疑いがあること,釈放したら逃亡してしまうであろう相応の疑いがあること,などを言いますが,勾留理由開示を求めても,「逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある」などと結論だけ裁判官が明らかにして終わりになってしまうケースが多いのです。
 もちろん,重要なのは,どうして証拠隠滅や逃亡の可能性が高いと考えられているのかというまさにその理由なのですが,そこはほとんど明らかにされないまま終わってしまうのです。
 ですから,通常の事件で,弁護人が勾留理由開示を本来の意味で活用することは難しくなっています。
 もちろん,勾留理由開示公判を通じて自らの主張を公開の場で行いたい場合,社会的耳目を集める事件などで勾留の不当性を訴えたい場合など,勾留理由開示公判を活用すべきと考えられる場合があります。この場合も,弁護人がきちんと勾留理由開示公判で何を言うかを吟味し,準備することが重要です。

 
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