弁護士の押収拒絶権により守られるもの

弁護士会の声明

本日,日本弁護士連合会と東京弁護士会は,法律事務所を対象とした検察官による捜索に対し,以下のように強く抗議する談話・声明を発表しました。

 

日本弁護士連合会「法律事務所への捜索に抗議する会長談話」

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200131.html

 

東京弁護士会「刑事被告人の元弁護人の法律事務所に対する捜索・差押に抗議する会長声明」

https://www.toben.or.jp/message/seimei/

押収拒絶権

弁護士は業務上委託を受けたため保管し,又は所持する物で他人の秘密に関するものについては,権利の濫用と認められる場合を除き,押収を拒絶することができることとされています(刑事訴訟法第105条)。弁護士は日常的に依頼者や相談者の秘密に触れ,これを取り扱います。弁護士が秘密を守り,これを外に漏らすことがないという信頼がなければ,誰も弁護士に相談しようとしないでしょう。このような弁護士の職務内容に鑑みて,個人の秘密に関する物の押収を拒否する権利を認めることを通じて,弁護士に秘密を託そうとする人―依頼者や相談者の信頼を保護することが,この権利が認められている真の趣旨です。

そして,押収を拒否できるのですから,押収物を探すための行為である捜索も,当然に拒否できるというのが一般的な理解です。

 

上記の声明に指摘されているように,検察官が,弁護士が押収拒絶権を行使しているにもかかわらず,法律事務所のドアの鍵を壊し,捜索を強行したのは明らかに違法な行為であり,暴挙というべきです。そもそも押収を拒絶することが事前に明らかになっていたのであれば,捜索を強行する必要性があったかも疑問です。このような検察官の行為は,弁護士の利益だけでなく,今後弁護士に相談しようとする一般人の利益も軽視するものです。そして,上記の声明や談話では直接は触れられていないものの,安易に捜索令状を発付した裁判官の判断にも大いに問題があり,批判されるべきです。

困難な問題に直面し,相談しようとするあらゆる人をサポートすべき立場にある一弁護士として,弁護士の押収拒絶権を軽視する行為に対しては,強い憤りを覚えます。

 

 

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