控訴審の破棄判決 自判と差戻し

刑事事件の控訴審

刑事事件において第1審に不服があり控訴すると,控訴審は判決において,控訴を棄却する(第1審判決を維持すること)か,原判決を破棄するかの判断をすることになります。
原判決を破棄する場合に,控訴審は自ら判断を下す場合(第1審が有罪である場合に控訴審で無罪にするなど)と,自ら判断は示さず,地裁に事件を差戻すという判断をする場合とがあります。
前者を自判,後者を差戻し判決と言います。

刑事訴訟法400条には,「原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所に差し戻し、又は原裁判所と同等の他の裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、訴訟記録並びに原裁判所及び控訴裁判所において取り調べた証拠によって、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる」と規定されています。

自判した場合は,仮に不服があれば最高裁に上告を申し立てることができますが,最高裁で高裁判決が見直されることはほとんどありませので,事実上高裁判決がそのまま確定する可能性が極めて高くなります。

破棄差し戻し

他方差戻した場合には,再度地裁で裁判が開かれることになります(差戻し判決自体に上告をすることもできます)。

どのような場合に自判となり,差戻しとなるか,一律の定めはありません。統計的には自判の方が多いでしょう。
第1審において重要な証拠が取り調べられていないとか,第1審の訴訟手続に重大な違反があり,実質的な審理が尽くされていない,などの場合に差戻しとなり,第1審控訴審で証拠が出尽くしており,その証拠の見方(事実認定や量刑の評価)が異なるだけの場合には自判となることがほとんどです。

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