接見室という場所と弁護活動

2018-08-20

 接見室から被疑者が逃亡したというニュースが世間を騒がせています。
 このニュース,普段接見室を使って被疑者と接見をしている弁護士の側からすると,およそ考えられない状態であるという感想しかありません。
 接見室は,弁護士が座る側と被疑者が座る側で分かれています。その間には,通称「アクリル板」と呼ばれる大きな透明な板(実際は,アクリル製ではないようです)があり,お互いの声が聞こえるように空気の通る穴がいくつかあいている他は,厳重に固定されています。
 このアクリル板を外して逃走したとの報道となっていますが,そもそもこのアクリル板が外れることがあるのかと驚くばかりです。また,接見室の中の声は外には聞こえない仕様になっていますが,接見室の外の留置管理課の入口には職員がふつういますから,気付かれずに外に出ることは通常不可能ではないかとも思われるのです。
 さて,その原因などについてここで論じることはしませんが,このアクリル板越しの接見について,普段感じていることを少し書きたいと思います。
 アクリル板は透明ですが,やはり空間が二つに分かれることによるコミュニケーションの取りにくさがあります。私たちは,普段,誰かと面と向かって話すときにその間に何か障害物があるということは経験しません。声も聞き取りにくいところがありますし,普通のコミュニケーションではない空間がそこにあります。
 弁護士との書類のやりとりを直接することはできません。裁判などでは,弁護士が入手した証拠などを依頼人とやりとりして弁護戦略について話し合うことがありますが,紙に書き込んでもらったり,映像や音声データなどを再生して議論したりということが非常にやりにくい空間となっています。
 このように,身体拘束をされているままの弁護活動には支障があるのも事実です。接見室や身体拘束施設が厳重になることは仕方がありませんが,そもそも身体拘束をする必要があるのかを疑いたくなる事件もたくさんあります。身体拘束が被疑者被告人の防御権を害していることを考慮して,裁判所には慎重に判断をしてほしいものです。

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