取調べで作られる供述調書 刑事裁判での証拠能力

捜査機関に犯罪を犯したと疑われ捜査対象になった人は,被疑者として,警察,検察から取調べを受けることになります。
取調べにおいて,話した内容をもとに供述調書が作成されます。

供述調書の取扱い

この供述調書は,取調べでの質問と答えなどのやりとりが一字一句記録されたものではありません。
文章自体は,取調べを行った警察官,検察官が作成します。
そのように作成された文章の最後に,内容を間違いないと確認したとして被疑者本人の署名押印が求められるものです。

被疑者以外の被害者,目撃者,関係者などに対しても,警察,検察は事情聴取を行い,話した内容をもとに供述調書が作成されます。
被疑者以外の被害者,目撃者,関係者などの供述調書は,刑事裁判において裁判を受けている被告人側が証拠とすることに同意せず内容を争う場合,証拠とならないのが原則です。
この場合,検察官は,供述調書を証拠とするのではなく証人として裁判で証言をさせる必要があり,弁護人側は証人の証言に対して反対尋問を行う機会があります。

被疑者(被告人)の供述調書の証拠能力

しかし,被疑者(被告人)の供述調書は,違います。
被告人側が証拠とすることに同意せず内容を争おうとしても,基本的に証拠能力が認められるという刑事裁判のルールになっており,争うのが困難です(刑事訴訟法322条)。
取調べを受けているときに,記憶違いや誤解があったまま話しをし,客観的な証拠や他の人の供述と異なる内容の供述調書になってしまう可能性があります。
また,文章自体は,警察,検察が作成するもので,自分の認識と異なった内容のまま供述調書が作成されてしまう危険があります。
しかし,一度,供述調書が作成されてしまうと,刑事裁判において証拠能力が認められていまい,この内容を争うことが困難になってしまいます。
刑事裁判の法廷において,自分の口で自分のありのままの記憶を話しているのに,取調べにおいて作成された自分の供述調書の内容と齟齬があったりすることで,法廷での自分の話が信用されないという不利益を受ける可能性があります。

犯罪を犯したと疑われ,警察,検察からの取調べを受ける場合,この取調べにどのように対応するかは,とても重要です。
警察,検察からの取調べを受けることになった方,そのご家族の方は,ぜひ当事務所の弁護士までご相談下さい。

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