介護殺人の難しさ

 介護の末に要介護者を殺害してしまった,として刑事事件に問われることは少なくありません。
 心身の障害に苦しみ,自ら殺害を依頼するケースもあれば(嘱託殺人罪),介護者が限界に達して依頼なく殺害してしまうケースもあります(通常の殺人罪)。

 ただし,介護殺人と一口にいっても,介護の程度や期間,事件の動機などによって様々です。
 生活に苦しむ要介護者を楽にしてあげたい,という動機なのか,単に介護を負担に思い自分が遊びたいという動機なのか。
 周囲への助けを求めたか,利用できるサービス等があったかなども量刑に影響します。
また,介護者自身がうつ病等患っているケースも珍しくありません。

 このように介護殺人にも様々な事情があり,量刑もかなり幅が広くなります。
 下は殺人既遂でも執行猶予が付くこともあれば,懲役10年を超えることもあります。

 弁護活動にあたっても,長年の介護の実態をできる限り把握する必要があり,大変な事件類型の1つです。
 なにより,本人自身が,自責の念に駆られている場合も多く,あるいは,心中を企図したケースなどでは,自殺念慮が続いている人もいます。
 弁護人は,本人に寄り添いながら,本人が尽くしてきた介護の実態を伝え,その苦しみを裁判官,裁判員に理解してもらう必要があるのです。

 
 

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