弊所の久保有希子弁護士が弁護人を務めた侮辱被告事件で無罪判決が言い渡されました。
侮辱罪は、2022年の法改正で重くなった犯罪です。SNSでの誹謗中傷が社会問題となったことを受け、「拘留又は科料」しかなかった法定刑に、拘禁刑と罰金が加わりました。
●法務省ウェブサイト
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html
刑法231条は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者」を処罰すると定めています。成立には、次の要素がすべて揃う必要があります。
- 公然と:不特定または多数の人が認識できる状態であること。SNSの公開投稿は典型例です。
- 人を:特定の人に向けられていること。個人のほか法人も含まれますが、誰を指すのか分からない表現では成立しません。
- 侮辱した:人の社会的評価を下げるような軽蔑の表示をすること。
- 故意:上記を認識したうえで行うこと。
侮辱罪の規定により保護されているのは、本人の気持ち(名誉感情)ではなく、社会からの評価(外部的名誉)です。
2022年の法改正で変わったのは刑の重さであり、処罰される行為の範囲は変わっていません。
ただし、刑が重くなったことで、教唆犯・幇助犯も処罰対象となり、逮捕についての軽微事件の制限もかからなくなりました。
また、名誉毀損罪と侮辱罪を分けるのは「具体的な事実を示したかどうか」です。
侮辱罪には、名誉毀損罪のような「公共の利害に関する真実の事実なら罰しない」という特例の規定がありません。その分、正当な論評や批判との線引きが問題になります。
改正時の国会でも、正当な批判や論評が萎縮しないよう求める附帯決議が付されています。
●国会附帯決議
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/houmuB985C88EBDA1A7A54925884C003675A0.htm
侮辱罪の成否は、「誹謗中傷は許されるのか」という問題ではなく、あくまでも、その言動が刑事罰の対象となるのか、という問題です。
個別の事案ごとに刑罰の対象となるべき事案なのか、民事上の問題にとどまるのか、いずれにもならないのか、要件を丁寧に検討することが大切です。

東京・中央区にある東京ディフェンダー法律事務所では、刑事事件のご相談を数多くお受けしています。突然の逮捕や捜査で不安を抱える方の力になれるよう、ひとつひとつの事件に丁寧に向き合ってきました。痴漢や万引き、薬物事件から裁判員裁判の対象となる重大な案件まで、幅広いご依頼に対応しており、これまでに多くの不起訴・無罪の結果を導いてきた経験があります。東京を中心に、関東近郊からのご相談にも対応しています。どんな状況でも、まずはお気軽にご相談ください。
