裁判では,被告人質問と言って,被告人自身が自分の体験した事実を語る機会があります。黙秘権がありますので被告人は黙秘したり,質問に答えないことができますが,黙秘せずに事実を語った場合その供述は評価の対象となります。
被告人の供述の評価は偏ったものであってはいけません。しかし,日ごろ刑事弁護を担当していると,被告人の供述が疑われやすく,偏った目で見られがちだという実感があります。
しかし,被告人の話に真摯に耳を傾けないことが,数々の冤罪を生んできました。客観的な証拠に反する話であれば信用されなくても仕方がありませんが,最も危険なのは,裁判の時から振り返って,被告人の行動が不合理なのではないかと疑ってしまうことです。
不合理な行動をひとつも取らない人はいません。あるいは,当時は合理的に行動していたと思っても,後から振り返ると,こうしておけばよかった,なぜこうしなかったのか,と自分の行動を振り返ることも日常経験するはずです。人は失敗するというのが我々の常識です。被告人も同じです。被告人供述を評価するとき,それが今から振り返って不合理に見えるときでも,それをもって被告人の話を信用できないとするのはとても危険な認定方法です。

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