裁判員裁判の刑事弁護活動 証人尋問の大切さ

 裁判員裁判は,目で見て耳で聞いて分かる裁判を目指すものです。
 一般の人が法廷で直接見て聞いた証人や証拠によって判断するために,あたり前のこととも言えます。
 裁判員裁判の刑事弁護活動も法廷での真剣勝負のために全力を尽くします。

 しかし,それに反するような報道がありました。大阪地裁で審理された裁判員裁判が第1審は無罪,控訴審で破棄差し戻しとなった事件です。差し戻しとなった事件は,再度第1審で審理されることになります。もう一度裁判員が選任され,審理をやり直します。しかし差し戻された大阪地裁は,最初にやった裁判員裁判で行われた証人尋問が録画された映像を見て審理に替えようというのです。新たに選任された裁判員は,証人から直接聞くことはできず,長時間DVDを見ることになります。

 しかし,私たちは,ある人が本当のことを言っているかどうかを考えるとき,その人の目を見て,その人の話し方を見て,直接判断しています。目の前で直接話を聞くことが何より大事です。
 あるいは疑問に思ったことを直接質問して,その応答を見て真偽を判断しています。
 
 刑事弁護活動の最も大きな活動の一つに反対尋問があります。証人に直接弁護人から質問し,それを裁判官,裁判員に見てもらって,判断してもらいます。
 DVDでは,反対尋問すら行うことができません。

 今回の大阪地裁の措置は,刑事裁判の最も根本的な部分を蔑ろにするものです。
 このような運用が定着しないように注意していきたいと思います。

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