警察官や検察官の取調べというのは、厳しいものです。特に、疑われている事実について争っている場合(自分はやっていない、犯人ではない、などの主張をしている場合)には、取調べが厳しくなる傾向があります。
検察官や警察官は、取調べにおいて、「あなたの話はとても信用できない」と平然と言ってきます。普段の日常生活において、自分の話を正面から信じられないといわれる機会は、あまりないと思います。取調べは、日常生活とは異なるコミュニケーションの場で、極めて強い精神的圧迫を感じるものです。
また、検察官や警察官は、時に、事実を認めないと不利益が及ぶことを示唆してきます。たとえば、反省しているように見えない、認めないと釈放されない、起訴されるなどの圧力です。こうした言動は誤りであることが多いのですが、取調べで捜査官に囲まれて孤独な立場になった被疑者は、これに迎合してしまいたい心理状態に置かれます。日常のコミュニケーションは、相手と良好な関係を作ろうとする心理で行われるのが通常ですから、こうした場面でも、無意識に、相手の要求に応えなければならないのではないかと考えてしまうのです。
そうすると何が起こるかというと、事実に反しても捜査官のいうとおりに供述するほうが自分にとって有利であると自分で判断して、捜査官に対して嘘の自白をしてしまうということが起こります。虚偽自白の多くは、決して、警察官に殴らたり怒鳴られたりして無理やり認めさせられるという場合ばかりではないのです。その判断は、たいがい間違っているのですが、しかし取調べは、そこに置かれた被疑者を異常な心理状態にし、こうした間違った判断が生まれる構造を持っています。
そして、実際に自白をすると捜査官の態度は一変し、とても親切、親身な態度をとるようになります。これによって、被疑者は、自分が自白したことは間違っていなかったんだと考えてしまいます。その結果、その後の取調べでは、捜査機関に迎合し続け、嘘の自白をし続けることになるのです。
これを、裁判の場で訂正しようとしても、簡単には認めてもらえません。自分に有利ではないかと思ってしてしまったと説明しても、多くの裁判官は「それでも虚偽の自白なんてするはずがない」と考えてしまいがちだからです。裁判では、そのような視点で、検察官や裁判官から糾問を受けることになります。
こうした悲劇を招かないために重要なのは、正しい知識を持った弁護人の援助を受け、取調べに対してきちんと対応をすることです。万が一虚偽の自白をしてしまった場合でも、正しい知識を持った弁護人の援助が受けられれば、このダメージを最小限にすることもできます。取調べを受ける身になったら、一刻も早い弁護士への相談と、優れた弁護人の選任が望まれます。

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