刑事裁判における異議の種類

刑事裁判において,裁判の当事者である被告人側の弁護士が行う異議の申立は,証拠調べに関して申し立てる異議(刑事訴訟法309条1項)と,裁判長の処分に対して申し立てる異議(同法309条2項)があります。

証拠調べに関して申し立てる異議

証拠調べに関して申し立てる異議としては,証人尋問における検察官の尋問に対する異議だけではなく,検察官の冒頭陳述に対する異議,裁判所の証拠決定に対する異議などがあります。
異議の理由としては,法令違反だけではなく相当でないことを理由とすることができます。
但し,弁護人や検察官が証拠調べ請求をした証拠の採否について,裁判所の証拠決定に対する異議は,相当でないことを理由とすることはできません。
もっとも,直接の刑事訴訟法の条文に違反する場合だけではなく,法令の解釈適用を誤ったり,裁量を逸脱する等の決定については,法令違反があるとして異議を申し立てることになります。

裁判長の処分に対して申し立てる異議

裁判長の処分に対して申し立てる異議としては,裁判長の公判期日における訴訟指揮や法廷警察権に基づく処分に対する異議があります。
異議の理由としては,法令違反を理由とする場合に限りできるとされています。

異議を出さないと問題がないことになる

異議を申し立てるべき問題があったのに異議を申し立てないままの場合は,問題がなくなったとの扱いがなされてしまいます。
例えば,伝聞供述は刑事訴訟法で証拠能力がないとされるのが原則です(刑事訴訟法320条1項)。しかし,証人が人から聞いたとする伝聞供述をしたのに対して,直ちに異議を述べないままであれば,その伝聞供述に証拠能力が認められてしまいます。
弁護活動としては,異議について十分な理解の下,直ちに異議の申立をすることが重要です。

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