先日,当事務所の弁護士が担当した第一審での無罪判決が,控訴期間の経過により確定しました。
無罪判決の確定
無罪の判決に対しては,検察官が上訴をすることができることとなっています。検察官は,上訴する場合には,判決の日を除いて14日間以内に上訴の手続をしなければいけません。もし,上訴がなく14日間が経過すれば,無罪判決は確定し,以後同じ事件について再び刑事責任を問われる可能性はなくなります。
実務上,検察官は無罪の判決に対し必ず上訴するわけではありません。検察官は,無罪判決に対して上訴するかどうかを検察庁として審議し,上訴すべきであると判断した事件だけ,上訴するといわれています。
検察官上訴という制度は問題をはらんでいる
検察官による上訴がなされるかどうかは,無罪判決を受けた被告人にとっては重大な問題です。一度無罪判決を得たのにもかかわらず,それが再度審理の対象となり,無罪の判断が覆される可能性があるのは,耐え難い負担です。同じ事件について二度,有罪の危険にさらされるのとあまり変わらないようにも思われます。その意味で,検察官上訴という制度自体がたくさんの問題をはらんだ制度です(諸外国ではこれを禁ずる立法例が多数あります)が,わが国ではこれが許されるというのが一貫した最高裁判所の立場です。
ひとたび検察官上訴がなされた事件では,検察官はかなりの力を入れて訴訟活動に望んできます。私たち弁護人は,検察官の上訴に理由がなく,原判決が正しいことをきちんと論証しなければいけません。優れた弁護人による,優れた弁護活動が要求される重要な局面のひとつです。

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