不利益変更の禁止

刑事裁判で第1審で有罪の判決を受け,控訴したとき,それが被告人の控訴のみであった場合には,第1審の判決より重い刑が科されることはありません。

刑事訴訟法第402条
 被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。 

原判決に検察官は不服がなく被告人のみ控訴した場合に,原判決より重い刑が科されるとすれば,被告人は怖くて控訴することが難しいでしょう。
三審制のもとで,裁判を受ける権利を保障するために設けられた規定です。

従って,仮に控訴審が第1審の量刑は軽すぎるな,と思っても検察官の控訴がなければ,重い刑を科すことはできません。
なお,これは自判ではなく差し戻しの場合も,差し戻し後の第1審が再び有罪判決を下したとしても旧第1審の量刑を超えることはできません。
執行猶予であった第1審判決を実刑にすることはありませんが,逆に実刑であった原判決を執行猶予にする代わりに刑期部分が長くなることは許されるとする判例があります(第1審:懲役1年→控訴審:懲役1年半執行猶予3年など)。

控訴をして控訴が棄却された場合,控訴審の審理の一部のみが未決勾留日数として算入されますが一部は算入されません。従って,同じ刑であった場合でも控訴しなかった場合の方が社会復帰が早いということはあり得ます。
控訴して刑自体が重くなることはありませんので,控訴審での未決で算入されない分の不利益をどう考えるかで,控訴するかどうかを決めればよいでしょう。

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