強盗致傷罪で逮捕・勾留 早期釈放の弁護活動

強盗致傷罪は裁判員裁判対象事件です。刑法では無期懲役,または6年以上の有期懲役と重い刑が定められています。
強盗致傷罪で逮捕勾留された事件について,東京ディフェンダー法律事務所の弁護士が弁護人の一人として活動し裁判官の勾留決定に対する準抗告が認められ早期に釈放されました。

事案はお酒に酔っていてタクシー運転手に暴行を行い怪我を負わせタクシー運賃の支払いを免れたとい疑いで逮捕されたというものでした。
逮捕の後,さらに裁判官が勾留という10日間の身体拘束を認めて取調べ等の捜査を受けることになっていました。

 

準抗告の申し立て・勾留の判断

逮捕の後,勾留がなされたのに対して早期に釈放される弁護活動としては,準抗告という不服申立てを行いこれが認められて勾留決定が取り消されるようする必要があります。

勾留の要件は,
  罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由がある場合
で,勾留の理由として,
  (1) 定まった住居を有しないとき
  (2) 罪証隠滅をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
  (3) 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき
のいずれかの事由があって,
  勾留の必要性が認められる
ことが要件とされています。

勾留に対する準抗告が認められて勾留決定が取り消される場合の多くは,勾留の必要性がないと判断されているといえます。
そして,勾留の必要性が認められるかは,勾留によって得られる利益と被る不利益とを比較衡量して判断するとされています。
勾留によって得られる利益としては,事案の重大性などの他,罪証隠滅や逃亡のおそれの程度が関わるものといえます。
このため,勾留による不利益が大きいと主張することの他,勾留の理由とされる罪証隠滅や逃亡のおそれがないということを説得的に主張することが重要となります。

 

早期に釈放させるための弁護活動

弁護活動としては,主張を明らかにする証拠資料を提出することが重要です。
刑事裁判において,裁判の証拠として認められるためには証拠能力が必要とされます。証拠書類は,伝聞証拠として原則として証拠能力が認められず,証拠能力が争われれば伝聞例外として証拠能力が認められるかどうかが問題となるのが一般です。
これに対して,勾留に対する準抗告の判断において,弁護人が提出する証拠資料はこうした証拠能力は問題となりません。
弁護人が積極的に証拠資料を集めて提出する活動が求められるといえます。

担当した事案においても,被害者の方に対する被害弁償や示談を進めてこれらを明らかにする証拠資料を提出し,罪証隠滅等するおそれがないことを明らかにしました。
また,家族や仕事先からご本人を指導監督する旨の身元引受書や上申書を作成してもらいました。上申書から家族や仕事を捨てて逃亡等することは考えられないこと,勾留が続くことで仕事先に与える不利益が大きいことを明らかにしました。
事案としても,タクシー強盗を計画して実行したというような重大事件では全くなく,お酒に酔ってトラブル等になってしまった事件であることも主張し,勾留の必要性が認められないことを主張しました。

 

裁判所の判断

準抗告に対する裁判所の判断としても,現時点においては罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれが低くなっている等とし,勾留の必要性があるとまでは認められないとして弁護人の準抗告を認めました。
その結果,勾留決定が取り消され,ご本人は早期に釈放されました。

 

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