現住建造物放火未遂 執行猶予判決獲得事例

 本日、当事務所の担当している現住建造物放火事件の裁判員裁判で、執行猶予付きの判決が言い渡されました。
 事件は、不満を持っていた相手の自宅に火をつけようとしたが、幸いにも燃え広がらずに未遂で済んだという事件でした。

 この事件では、逮捕直後から早期に被害者と連絡をとり、被害者との間で示談を行い、被害者からの許しをもらいました。
 さらに、公判では、事件が、単純に不満を晴らすために行われたのではない背景を持つ事件であることに主張立証の力点を置きました。不満を晴らすために家に火をつけることは、極めて悪質だと評価されがちです。しかし、逮捕直後に被害者が許してくれたことにも表れているとおり、この事件は、それまでの被害者と被告人の関係性などが深くかかわっている事件でした。依頼人や被害者の話を聞いても、依頼人の抱えた持病の影響など、単純な不満晴らしのための犯行であるようには思えませんでした。もちろん、火をつけたことは悪質なのですが、その事件に至った背景を理解してもらえるように務めました。そして、それが、依頼人が事件を起こす動機に少なからず影響しており、依頼人を責めるべき事情ばかりではないと主張しました。
 そのほか、事件が同種の現住建造物放火未遂罪の例よりも悪質な事件ではないことを訴え、執行猶予付きの判決を求めました。

 判決では、弁護側の主張がそのまますべて受け入れられたわけではなく、弁護側の主張がどれだけ考慮された判決からは必ずしも明らかではありませんでした。ただ、判決では、この事件が「同種事案よりも軽い」という旨評価され、示談などの事情からすれば、執行猶予判決が相当だとして、依頼人に執行猶予を宣告しました。
 判決も言及したとおり、裁判員裁判の量刑事件では、過去の事件の量刑傾向を参照しながら、事件の相対的な位置づけについて議論することが現在は不可欠となっています。このような弁護活動は、残念ながら、いまだ多くの弁護士に浸透しているとはいえません。当事務所は、このような弁護活動をいち早く取り入れ、より説得的な量刑事件の弁護活動を目指しています。

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