第1審判決後の保釈の現状

 刑事裁判で実刑判決が下された場合,控訴することができます。
 第1審で保釈されていたとしても,保釈の効力は実刑判決の言渡しによって効力を失い,一旦は収監されます。実刑判決後さらに保釈申請をすることができ,認められれば,控訴審も保釈された身で受けることができます。
 従前は,第1審で保釈されていた被告人の場合,よほど重い実刑判決となった,保釈中に問題行動があった,などという場合を除き,控訴審でも保釈が認められることの方が多かったように思います(保釈金は積み増しが求められますが)。

 しかし,ここ最近の保釈中の逃亡のケースやゴーン被告人の事件がさかんに報道され,裁判所の保釈を非難するような論調が増えたこともあってか,ここ最近控訴保釈が認められるケースが極めて限られるようになっています。

 例え短期の実刑判決であっても,控訴保釈が認められません。

 控訴して裁判を受けるかどうかは保釈が認められるかどうかという要素は大きく関わってきます。
 一般に拘束されたまま裁判をし控訴審判決でも実刑判決が維持された場合,拘束されていた審理期間(未決勾留日数)が,判決に全て算入されるわけではないからです。控訴審では概ね2~3ヶ月を超えた部分が未決勾留日数として算入されることが通常です。
 そのため,保釈が認められなければ2~3ヶ月社会復帰(ないし社会にいられる時間)を損することになり,控訴を諦めさせる大きな要因となっているのです。

 未決を一部しか算入しないことや,保釈を認めない運用は,裁判を受ける権利を大きく制限していることに他ならないのです。

  
 

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