通信傍受法の改正

 平成28年度の刑事訴訟法の改正の際に,通信傍受法も一部改正されました。
 通信傍受とは,犯罪の捜査に必要な場合に,電話や電子メールなどの通信を,その通信が行われている最中にその通信の当事者の同意を得ず取得することです。
 この法律自体は平成11年に成立したものですが,その要件が厳格で,かつ対象犯罪も限られていました。
 平成28年の改正では,対象犯罪の拡大と傍受手続の改正(通信管理者の立会等が不要となる)が行われました。
 対象犯罪の拡大は平成28年12月1日から施行となり,傍受手続の改正の施行は平成30年度の見込みです。

 対象犯罪は,それまで銃器犯罪,薬物犯罪,集団密航,組織的殺人の4罪種であったのが,現住建造物等放火,殺傷犯,逮捕・監禁・略取・誘拐,窃盗・強盗,詐欺・恐喝,爆破物物使用,児童ポルノ等が追加されることになりました。
 
 一般刑法犯のかなりの部分に拡大されたことになります。

 私たちは,電話や電子メールなどは,自分と相手しか聞いたり見たりしないことを当然の前提として生活しています。もし自分の電話が勝手に盗聴されているとすれば怖くて電話などできません。
 この意味で通信傍受は,個人のプライバシーや通信の秘密を大きく制約する捜査手法なのです。
   
法律でもその要件は厳格に定められていますが,捜査機関が犯人を検挙したいと思いから,法の趣旨を逸脱するような通信傍受をしないかどうか,きちんとチェックしていく必要があります。

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