証拠の一覧表の注意点

 公判前整理手続に付された事件では,検察官に対し,証拠の一覧表の交付を請求することができます。

 刑事訴訟法316条の14 
 2 検察官は、前項の規定による証拠の開示をした後、被告人又は弁護人から請求があつたときは、速やかに、被告人又は弁護人に対し、検察官が保管する証拠の一覧表の交付をしなければならない。
   
証拠の一覧表は検察官が手元に保管している証拠のリストです。検察官が取調べを求めて裁判所に請求している証拠以外に,弁護側に開示すべき証拠の大きな手がかりとなるもので,特に争う事件では公判前整理手続に付して,この証拠の一覧表を交付させることが,最低限必要な弁護活動といえるでしょう。

 ただし,この証拠の一覧表は,あくまでその事件の捜査に関して検察官が手元に保管している証拠のリスト(実際には警察官から送致される際に送致目録をもとに作成していると言われています)に過ぎず,ありとあらゆる証拠が掲載されている訳ではありません。

 具体的には,以下のようのな証拠群は証拠一覧表に掲載されません。
① 警察が検察に送致しない証拠(未送致証拠)
② 他事件(被告人の別事件や共犯事件など)の捜査記録
③ 捜査そのものではないが捜査機関が作成する書類(証拠品の保管や留置関係など)
④ 鑑定人など第三者が作成する鑑定経過,メモ類
⑤ 起訴後等当初の一覧表作成後に補充捜査をして収集した証拠

 従って,証拠一覧表を手がかりにすることはもちろん,一覧表に掲載されていないものでも,開示させるべき証拠はないかを検討することが肝要です。 

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