遮へい措置

2020-02-13

刑事裁判で,証人尋問を行う際,遮へい措置が取られることがあります。
この遮へい措置は,刑事訴訟法に定められています。

 157条の5 1項
  裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

例えば性犯罪の被害者など被害に遭った人が被告人に顔を見られたくない,見られる状態では話しができないというような場合に,被告人と被害者との間に衝立を置き,双方が見れない状態にします。
なお,157条の5 2項では,証人と傍聴人との間の遮へい措置も定めており,公開の法廷で傍聴人に知られたくないという場合に傍聴人との間の遮へい措置もとられることがあります。

具体的には,慎重より高い衝立を証言席の周りにコの字に配置し,被告人からも傍聴人からも見られないようにする,というものです。
検察官,弁護人,裁判所はもちろん見えるようになっています。

性犯罪の被害者など精神的苦痛が大きい証人の尋問をせざるを得ない場合などはやむを得ないでしょうが,この遮へい措置が拡大されることは,公開の法廷における対決権を大きく制限するものです。

人は他人の面前で嘘をつくより隠れて嘘をつく方がよっぽど簡単です。
直接被告人や傍聴人に見られているという意識が,虚偽の供述を抑制する面があるのです。
近年は被害者意識やプライバシーの保護の高まりとともに遮へい措置が安易に認められるケースが増えているように思いますが,刑事裁判の基本を今一度考えるべきでしょう。

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