証拠の保管の連鎖

 犯罪が疑われたとき,警察は現場に行き,遺留物を押収したり,様々なところから,微物,指紋,DNA型,血液などを採取します。
 現場で押収された物はまず警察署に運ばれ,物に応じて保管され,必要な物は科捜研などに鑑定に付されます。
 その後起訴すると証拠物は検察官に送致され,刑事裁判に証拠物として請求されたり,鑑定がなされれば鑑定書が証拠請求されます。

 しかし,この過程はあくまで警察官が捜査として行うものであり,1つ1つの手続に被告人や弁護人が立ち会ったりチェックしたりするわけではありません。
 
 弁護側からすると,いきなり起訴された後に,「現場で押収した凶器」「鑑定書」などが証拠として請求されて存在を知ることになります。
 従って,公判に請求された証拠物や鑑定書が,本当に現場にあったものか,鑑定に付された資料は適切に採取・保管されていたのか(どこかの過程で汚染や混入がないか)などは,わからないのです。

 このような証拠物や鑑定資料の由来(適切に押収し保管していたこと)については,弁護人は検察官に立証を求めることができます。
 一般に、現場で押収する人,保管する人,鑑定する人などは別々ですから,きちんと最初の押収から公判に至るまでの押収・保管が適性になされたことを警察官等により立証する必要があります(これを保管の連鎖などといいます)

 証拠物は一般に証拠価値(証拠の証明力)が高いので,その由来が間違っていれば大問題です。
 
 刑事弁護においては,この証拠の保管の連鎖の立証を求めること,その過程に誤りがないかをチェックすることは重要な活動の1つなのです。

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