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【研修】東京法廷技術アカデミー(TATA)・5日間ワークショップの講師をつとめました
弁護士坂根真也と赤木竜太郎が、4月16日~20日に都内で実施された、一般社団法人東京法廷技術アカデミー(TATA)により研修において講師をつとめました。
弁護士向けに、尋問やプレゼンテーションのやり方について、実演を繰り返しながら学ぶ5日間のワークショップです。
今後も積極的にワークショップの講師をつとめて参ります。
保護責任者遺棄被告事件で無罪判決を獲得しました
弊所の久保有希子弁護士と赤木竜太郎弁護士が、保護責任者遺棄被告事件で無罪判決を獲得しました。
自ら薬物を摂取し意識不明となった被害者について、同人を遺棄したといえるかが問題となりました。複数名の専門家証人の尋問などが行われ、裁判所は事件時に被害者が刑法上の保護を必要とする状態にあったとは認められず、被告人が被害者の状態を把握できていたともいえないとして、無罪としました。
被疑者ノートを利用しよう
被疑者ノートとは
被疑者ノートとは,日本弁護士連合会(日弁連)が作成した,逮捕された人向けの冊子です。 (さらに…)
逮捕後に国選弁護人がつくまでの手続き
逮捕された後,すぐに国選の弁護人がつくというわけではありません。
逮捕後に国選の弁護人がつくのがいつからかは,現在の制度では「勾留状が発せられている場合」(刑事訴訟法37条の2第1項)とされています。
逮捕の後,さらに勾留という10日間の身体拘束が続くことになって初めて国選の弁護人として弁護士がつくことになるのが現在の制度です。
警察による弁解録取
国選の弁護人がつく前までの逮捕された被疑者に対する手続きとして,まず,警察による弁解録取が行われます。
逮捕された犯罪事実について被疑者に弁解の機会を与えるという手続きです。
この時,被疑者が弁解した内容について,弁解録取書という書類が作成されます。
実質的に犯罪事実についての取り調べが行われ,供述調書が作成されることになります。
弁解録取だけで警察の取り調べが終わるわけではありません。
弁解録取書を作成した後も,さらに犯罪事実,事件に至る経緯,事件後の出来事等について詳しく取り調べが行われ,供述調書が作成されます。
自身の経歴,職歴,前科前歴,家族関係,生活状況等の身上関係といわれる事柄についても取り調べが行われ,供述調書が作成されます。
検察官送致・検察による弁解録取
警察がさらに身体拘束を続けて取り調べ等の捜査を行う必要があると考える場合,手続きとしては,逮捕から2日以内に検察官に送致する送検という手続きを行います。
送検を受けた検察官からも,被疑者に対して弁解録取が行われます。
逮捕された犯罪事実についての被疑者の弁解を聞くというだけに止まらず,検察官からも詳しく取り調べが行われて供述調書が作成されることが多いといえます。
勾留請求・勾留質問
検察官がさらに身体拘束を続けて取り調べ等の捜査を行う必要があると考える場合,手続きとしては,送検から1日以内に裁判官に勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は,被疑者に対して勾留質問を行います。
警察,検察官と同様に,被疑者に対して犯罪事実に関する陳述を聴くという手続きであり,勾留質問において被疑者が供述した内容は勾留質問調書という書類に記録されます。
裁判官が勾留を認める場合,検察官が勾留請求した日から10日間の身体拘束が続くことになります。
この10日間の勾留はさらに最大10日間延長されて取り調べ等の捜査を受ける可能性があります。
逮捕後すぐに弁護士の助言等を受けることが重要
こうした手続きのため,逮捕された後に国選の弁護人がつくことになるまで,逮捕から2~4日程かかることになります。
また,国選の弁護人がついたときには,既に勾留されていてさらに10日間の身体拘束が続くことになっていることになります。
また,国選の弁護人がつくことになるまでに,既に,警察,検察の取り調べは始まっていて供述調書が作成され,裁判官の勾留質問も終わって勾留質問調書が作成された後ということになります。
身体拘束を受ける日数という点でも,取調べ等の捜査を受けるという点でも,現在の国選弁護人の制度は十分とはいえません。
国選の弁護人がつくのを待つというのではなく,逮捕後すぐに弁護士の助言を受け,弁護士が弁護活動を行うことが重要といえます。
強盗致傷事件について
1 強盗致傷罪は裁判員裁判対象事件
強盗致傷罪とは,強盗という犯罪を起こし,かつ被害者や関係者に傷害を負わせた場合に成立する犯罪です。 (さらに…)
証拠の入手方法
1 刑事裁判のための証拠収集
刑事裁判は,法廷に提出された証拠によって有罪,無罪,あるいは有罪であれば量刑が決せられます。
証拠には,被害者や関係者などの証人,書証,物証があります。
刑事裁判で自らの主張を裏付け,あるいは検察側の主張を弾劾するための証拠の入手方法にはどのようなものがあるでしょうか。
2 証拠の開示
まず証拠を入手する基本となるのが検察官に対する証拠の開示請求です。
捜査機関は,警察,検察が,たくさんの捜査員を投入して関係者から話を聞いたり,証拠を押収します。また捜査機関ないし外部機関に委託して鑑定や実験なども行います。
それらの証拠は当然には弁護側には開示されません。
裁判では,検察官が自らの主張を立証するために必要だと考える証拠だけが請求され,それは弁護人にも開示されますが,検察官が必要ではないと判断したものは,開示されないため,弁護側から検察官に証拠の開示請求をする必要があるのです。多くのえん罪事件で,被告人側に有利な証拠が開示されなかったことが要因となっているように,きちんとした証拠の開示が何より重要なのです。
3 新たな証拠の収集法方
証拠の開示は,起訴された段階ですでに捜査機関によって収集された証拠の開示を求めるものです。
捜査機関が入手していない証拠の入手方法には,いくつかの方法が考えられます。
大きくわけて,① 捜査機関に入手させる ② 裁判所を通じて入手する ③ 弁護人自ら入手する ことが考えられます。
①,②の捜査機関や裁判所を通じて入手する場合には,当然その内容を検察官(場合によって裁判所)が把握することになります。
内容によっては,捜査機関,裁判所に知られる前に弁護側で把握して検討したいという場合もあるでしょう。
そのため,まずは③の弁護人が独自に入手することを検討します。
4 弁護人による証拠収集
弁護人による証拠収集は,例えば弁護人自身が関係者に話を聞いたり,現場に行ったり,各種機関に鑑定や実験を依頼することはできます。
問題は,相手が提出や聴き取りを拒んだときに,強制的に入手する方法がない,という点です。
弁護士には,弁護士法23条による弁護士会照会という制度があり,一定の場合には有効ですが,企業による情報管理の点から,開示されない場合も珍しくありません。
5 捜査機関,裁判所に入手させる
強制力によって入手するしかない場合,捜査機関や裁判所を通じて入手するしかありません。
捜査機関は,捜査事項照会という関係機関に対して照会をして回答を得るということを良く行っていますし,必要があれば,裁判所に捜索差押え令状を請求して,強制的に押収することも可能です。
捜査機関はもちろん弁護人の要求に応じる義務はないので,捜査機関に~のような証拠が必要だから収集して欲しい,という申し入れを行い,捜査機関の判断で収集することになります。
場合によって,公判前整理手続などで裁判官を交えて証拠の必要性を議論し,裁判官から促してもらうということもあります。
また,裁判所を通じた入手には,裁判所に対して,公務所等照会をしたり裁判所自身に差押え,提出命令等の申立をすることが可能です。
裁判員裁判における量刑の判断
裁判員裁判は,一定の重大犯罪が対象となっています。
殺人,傷害致死,強盗殺人,強盗致死,強盗致傷,現住建造物等放火,強制性交等致傷などの罪です。
一般の市民から選ばれた裁判員が裁判官とともに有罪無罪の判断の他,有罪とする場合は言い渡す刑の重さも判断します。 (さらに…)
控訴や上告をすべきか
日本の刑事裁判
逮捕され起訴されると刑事事件の第1審が地方裁判所で行われることになります(一部の軽微な事件は簡易裁判所の場合もあります)。
第1審の裁判に不服があり控訴を申し立てると,事件は高等裁判所で第二審として審理されます。
控訴審の判決にも不服があり,上告を申し立てると最高裁で第三審審理されることになります。
このように,日本の刑事裁判は三審制を採用しています。
しかし,地裁,高裁,最高裁の審理は違う裁判官が判断するものの,その審理の内容は全く異なります。
裁判員制度の導入もあり,日本の刑事裁判における第1審重視の傾向は強まっており,控訴審での破棄率は10%前後で,上告審で破棄されるのは年数件というレベルです。
控訴すべきか
控訴すべきかどうかを考えるときには,
① 保釈されているか,されていなければ未決の日数
② 控訴審での見通し
を検討する必要があります。
前提として,控訴審は,原判決の言い渡し日から概ね1ヶ月半~2ヶ月後くらいで控訴趣意書をの期限が定まります。
控訴趣意書とは,第1審判決に対する不服な点を記載した書面です(通常は弁護人が作成します)。
控訴趣意書を提出して,そこから1ヶ月程度で第1回公判,さらに2週間~1ヶ月で判決期日というのが一般的な流れです。
そのため,控訴審の審理期間は概ね3ヶ月半~5ヶ月くらいで終了することがほとんどです。
拘束されている場合の未決勾留日数は約2ヶ月を超える部分が算入されることが多く,裏を返せば2ヶ月は無駄に拘束されるということになります。
第1審で言い渡された刑期が比較的短期である場合,控訴してダメだった場合は,社会復帰が2ヶ月遅れるということを意味しますので,その点を検討する必要があります。
また,控訴して拘束されている場合,地裁の管轄地の拘置所から東京,大阪,名古屋などの高裁所在地の拘置所に移送になります。
控訴審の見通し
控訴するかどうかという点において,最も重要な点は控訴して第1審が見直されるかどうかです。
確率的に言えば,10%なので可能性が高いとは言えません。
特に犯罪事実に争いはなく量刑が問題となる事案においては,量刑というものにはある程度の幅があり,高裁の裁判官から見て仮に若干重いなと思えても,同種事案などと比較して適正な幅の中に量刑が収まっているような場合には破棄されないことがほとんどです。
第1審判決が量刑の基礎とした事実自体に誤りがあるとか,第1審判決後に新たに示談が成立したなどの事情がないと,単に第1審判決の評価が不当で重すぎるといったことでは控訴審で見直される可能性は少ないといえます。
事実を争う否認事件の場合を考えてみると,控訴審の基本的性格が,第1審判決の当否を審査するものとされており,証拠調べをやり直すものではありません。
新しい証拠を取調べることには消極で,第1審の証拠から第1審の判決が正しいのかどうかが審査されることになります。
従って,控訴審の見通しを考える上では,第1審の証拠から認定した第1審の判断それ自体に,論理的,あるいは常識的に考えて不当な点があるといえなければならないのです。
上告すべきか
最高裁に上告すべきかどうか,という点についてです。
最高裁での上告審の審理期間は概ね控訴審と同じで,3ヶ月~5ヶ月であることが多いです。
ただし,未決は約4ヶ月を超える部分が算入される運用で,概ね4ヶ月で終了することから,未決が算入されない(4ヶ月社会復帰が遅れる)ということがほとんどです。
また,上告審では原則裁判自体が開かれず書面審理であることから,被告人は高裁所在地の拘置所から移送にはなりません。
そして,何より圧倒的に破棄される(見直される)ことがないという実情です。
刑期にもよりますが,上告するかどうかは十分慎重に検討しなくてはならないでしょう。
強盗致傷罪で逮捕・勾留 早期釈放の弁護活動
強盗致傷罪は裁判員裁判対象事件です。刑法では無期懲役,または6年以上の有期懲役と重い刑が定められています。
強盗致傷罪で逮捕,勾留された事件について,東京ディフェンダー法律事務所の弁護士が弁護人の一人として活動し裁判官の勾留決定に対する準抗告が認められ早期に釈放されました。 (さらに…)
否認事件と公判前整理手続
否認事件とは
起訴された犯罪について検察官の主張と弁護側で争いがある場合を否認事件といいます。
犯人でない,という無罪主張だけでなく,殺人未遂で起訴されて行為は間違いないものの殺意はなかったから傷害罪であると主張する場合もあります。
また,事実の争いだけではなくて,正当防衛や責任能力の有無という法的評価が争いになることもあります。
このような犯罪の全部又は一部の成立に争いがある場合を否認事件といいます。
これに対し,起訴された犯罪が成立することに争いがなく,主たる裁判のテーマが被告人に科される量刑である場合を量刑事件や自白事件と言ったりします(なお,量刑事件といっても事実に全く争いがないというわけではありません。例えば殺人事件で起訴された場合に,検察官は保険金目的であると主張し弁護側が単なる怨恨であると主張するようなケースです。殺人事件においては動機がなんであるかは刑期を左右する大きな事情であり,事実の争いが大きな意味を持つことも少なくありません)。
公判前整理手続とは
否認事件を公判で闘う場合には,公判前整理手続に付してもらうことが出発点として重要です。
公判前整理手続とは,公判が始まる前にどのような点が争点となるか,どのような証拠調べをするかを整理するための手続です。
重大事件を対象とする裁判員裁判対象事件では,必要的に公判前整理手続が行われることになりますが,裁判員裁判対象外の事件では,基本的に公判前整理手続に付すことを当事者から請求して,裁判所が決定することになります。
刑事訴訟法 316条の2 1項
裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、第一回公判期日前に、決定で、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として、事件を公判前整理手続に付することができる。
公判前整理手続に付された場合とそうでない場合の違いは,大きく以下の3点です。
① 公判前整理手続で当事者双方は主張を明らかにする必要がある
② 原則として取調べて欲しい証拠は公判前整理手続で請求しなければならない
③ 検察官に対して証拠開示を求めることができ,証拠の一覧表も交付される
公判前整理手続に付すことの重要性
上記の①,②の主張や証拠を公判前整理手続で出し合うという点は,公判前整理手続の大きな特徴です。
そもそも公判前整理手続は,一般市民が裁判員として参加する裁判は集中的に行わなければならないことから,予め判断すべき事項(争点)とそのためにどのような証拠を調べるかを決めておく必要があることから,設けられた制度です。
そのため,
① 検察官が証明予定事実(立証使用とする事実)
② 検察官の証拠調べ請求
③ 弁護人の予定主張(法廷で予定している主張)
④ 弁護人の証拠調べ請求
が行われることになります。
そして,重要なことが,証拠調べ請求は,公判前整理手続終了後はやむを得ない事由がない限り出来ない,という点です。
折角整理して公判をはじめたのに,さらに証拠請求ができるとすれば,裁判をやり直さなければならない事態にもなりかねないからです。
公判前整理手続に付すべき大きな理由の1つが,この証拠制限なのです。
検察官が公判を見てから,補充捜査をしたり,新たな証拠を請求することを封じることができるのです(弁護側も同様です)。
証拠開示の重要性
さらに公判前整理手続に付すべきもう一つの理由が,証拠開示です。
犯罪が疑われた場合,警察,検察は,膨大な捜査員と税金を投入して,証拠を集めます。必要があれば強制的に押収することもできます。
これに対し弁護側は,強制力もマンパワーもなく,国選弁護などでは経済的資力もありません。
もちろん事件の中には,弁護人が苦労の既に証拠を探し出したり,作り出して無罪に繋がるという場合もありますが,多くは,捜査機関が収集した証拠の中に活路を見いだすのです。
しかしながら,検察官は、自らの主張を裏付ける証拠のみを裁判所に請求しますから,弁護側に必要な証拠は当然には手に入れることができず,証拠開示を求めていかなければなりません。
しかも,そもそもどのような証拠を集めたのかすら弁護側には分かりません。
そこで公判前整理手続に付されると,捜査機関が収集した証拠の一覧表というものを交付させることができ,証拠開示の手がかりになるのです。
また,公判前整理手続に付された事件では,類型証拠開示請求や主張関連証拠開示請求という制度が設けられており,検察官との間で証拠開示を巡って対立したときには,裁判所に証拠開示命令を出すよう請求することもできます。
このようなメリットから,否認事件においては公判前整理手続に付すことを求めることが充実した弁護活動のために必要なのです。
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